肉離れとは?大阪鶴橋・玉造の整形外科クリニックが徹底解説

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肉離れとは?大阪鶴橋・玉造の整形外科クリニックが徹底解説column

2025.07.22
肉離れとは?大阪鶴橋・玉造の整形外科クリニックが徹底解説

「急に太ももの裏に激痛が走った」「ふくらはぎが『ブチッ』と音を立てた気がする」―スポーツをしている方なら、一度は経験したり、耳にしたりする怪我の一つに肉離れがあります。肉離れは、筋肉が急激に収縮したり、強く引き伸ばされたりすることで、筋肉の線維が損傷する状態です。適切な処置を怠ると再発しやすく、スポーツ活動への復帰が遅れる原因にもなります。

肉離れとは?

肉離れとは、筋肉が過度に伸ばされたり、急激に収縮したりする際に、筋肉の線維の一部、または全体が断裂してしまう怪我のことです。骨折や靭帯損傷とは異なり、筋肉自体が損傷するため、正式には筋挫傷とも呼ばれます。

損傷の程度によって、以下のように分類されます。

  • 軽度(I度)

    筋肉の線維がごくわずかに損傷した状態。運動時に軽い痛みを感じる程度で、見た目の変化はほとんどありません。

  • 中度(II度)

    筋肉の線維の一部が断裂した状態。強い痛みがあり、皮下出血や腫れが見られることもあります。歩行や運動に支障をきたします。

  • 重度(III度)

    筋肉の線維が完全に断裂した状態。激しい痛みとともに「ブチッ」という断裂音を伴うこともあります。患部にへこみができることもあり、自力での歩行が困難になります。

肉離れが起こりやすい部位と主な原因

肉離れは、瞬発的な動きや急激な負荷がかかる筋肉に多く発生します。特に以下の部位は肉離れを起こしやすい傾向にあります。

  • 太ももの裏(ハムストリングス)
    • 短距離走、サッカー、ラグビーなどで、全力疾走中に急加速したり、トップスピードで走行中に発生しやすいです。また、サッカーでのキック動作や、急な方向転換でも起こることがあります。太ももの裏の筋肉は、股関節を伸ばしたり、膝を曲げたりする際に強く働くため、肉離れの好発部位です。
  • ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)
    • テニス、バドミントン、バスケットボールなどの急な切り返しやジャンプ動作で発生しやすいです。特にテニスでは「テニスレッグ」とも呼ばれ、サービスやレシーブ時に急に踏み込む動作で起こることが多く見られます。陸上競技の走り幅跳びの踏み切り時などでも起こることがあります。
  • 太ももの前(大腿四頭筋)
    • サッカー、ラグビー、バスケットボールなどで、ジャンプの着地やキック動作、急な停止動作で発生することがあります。急なストップや方向転換、高所からの着地などで、大腿四頭筋が急激に引き伸ばされることで損傷します。
  • 太ももの内側(内転筋)
    • サッカー、アイスホッケー、ダンスなどで、股関節を大きく広げる動作や急な方向転換で発生しやすいです。

肉離れの主な原因は、以下のような要因が複合的に絡み合っていると考えられます。

  • 準備運動不足
    • 筋肉が十分に温まっておらず、柔軟性が低い状態で激しい運動を行うと、肉離れのリスクが高まります。
  • 筋疲労の蓄積
    • 連日の練習や試合、十分な休息を取らないことによる疲労の蓄積は、筋肉の柔軟性を低下させ、損傷しやすくなります。
  • 筋力不足や筋力バランスの不均衡
    • 特定の筋肉だけを酷使したり、太ももの前後や左右の筋肉のバランスが悪いと、負荷が集中して肉離れを起こしやすくなります。
  • 急激な負荷
    • 急なダッシュ、ストップ、方向転換、ジャンプなどの瞬発的な動きは、筋肉に大きな負担をかけます。
  • 体の冷え
    • 寒い環境での運動は、筋肉の柔軟性を低下させ、肉離れのリスクを高めます。
  • 脱水状態
    • 体内の水分が不足すると、筋肉の収縮・弛緩がスムーズに行われなくなり、痙攣や肉離れにつながることがあります。
  • 加齢
    • 年齢とともに筋肉の柔軟性が失われ、筋力も低下するため、肉離れのリスクが高まります。

肉離れの症状

肉離れの主な症状は以下の通りです。

  • 受傷直後の強い痛み
    • 「ブチッ」「パチッ」といった断裂音を伴うこともあり、瞬間的に激しい痛みが走ります。
  • 疼痛と圧痛
    • 患部を触ると痛みが強く、安静にしていてもズキズキとした痛みを感じることがあります。
  • 腫れと皮下出血
    • 損傷した筋肉の周辺が腫れ、内出血によって皮膚が青紫色に変色することがあります。
  • へこみ(陥凹)
    • 重度の断裂の場合、損傷部位に触ると筋肉のへこみが感じられることがあります。
  • 運動機能の制限
    • 損傷部位の筋肉を使う動作(歩く、走る、膝を曲げるなど)が困難になったり、痛みを伴ったりします。

肉離れの診断

診断は、問診で受傷時の状況や痛みの部位を詳しく伺い、視診や触診で患部の状態(腫れ、へこみ、圧痛など)を確認します。加えて、以下の画像検査を組み合わせて行われます。

  • 超音波(エコー)検査
    • 筋肉の損傷の程度、出血の有無、筋肉内の血腫の有無などをリアルタイムで詳細に観察できるため、肉離れの診断に非常に有用です。
  • MRI検査
    • より広範囲の筋肉の状態や、損傷の深さ、他の組織(神経、血管など)への影響などを詳細に評価する際に用いられます。
  • レントゲン検査
    • 骨の異常(骨折など)の有無を確認するために行われますが、筋肉自体は写りません。

肉離れの治療

肉離れの治療は、損傷の程度によって異なりますが、基本的に保存療法が主体となります。

応急処置:RICE処置

受傷直後は、まず以下のRICE(ライス)処置を速やかに行うことが重要です。

  • Rest(安静)
    • 運動を中止し、患部を動かさないようにして安静にします。
  • Icing(冷却)
    • 患部を氷嚢などで冷却し、炎症や内出血を抑えます。20分程度冷やし、一度外してまた冷やすを繰り返します。
  • Compression(圧迫)
    • 弾性包帯やサポーターなどで患部を適度に圧迫し、内出血や腫れを最小限に抑えます。
  • Elevation(挙上)
    • 患部を心臓より高い位置に保つことで、重力による腫れの悪化を防ぎます。

その後の治療とリハビリテーション

RICE処置の後は、痛みの状態や損傷の程度に応じて、以下のような治療やリハビリテーションを進めます。

  • 薬物療法
    • 非ステロイド性消炎鎮痛剤の内服や外用薬(湿布など)を使用し、痛みや炎症を抑えます。
  • 理学療法(リハビリテーション)
    • 疼痛管理

      炎症が強い時期には、電気療法などで痛みを軽減します。

    • 関節可動域訓練

      炎症が治まったら、徐々に患部の関節可動域を広げるストレッチを行います。

    • 筋力強化

      損傷した筋肉だけでなく、周囲の筋肉や体幹の筋力もバランスよく強化し、再発予防に努めます。

    • バランス能力の改善

      不安定な状況でのバランス能力を向上させます。

    • スポーツ復帰に向けた段階的プログラム

      痛みがなくなり、筋力が回復したら、徐々に軽い運動から始め、ダッシュやジャンプ、競技特有の動作へと段階的に負荷を上げていきます。焦って復帰すると再発のリスクが高まるため、専門家の指導の下、慎重に進めることが重要です。

  • 手術療法
    • 肉離れで手術が必要になることは稀ですが、筋肉が完全に断裂し、患部のへこみが大きい場合や、保存療法で治癒が見込めない場合などに検討されることがあります。

肉離れの予防

肉離れは、適切な予防策を講じることで、発症リスクを大幅に減らすことができます。

  • 十分な準備運動と整理運動

    • 運動前には、心拍数を上げ、筋肉を温めるウォーミングアップを10~15分程度行い、その後、動的ストレッチ(ラジオ体操など)で全身の筋肉をほぐしましょう。
    • 運動後には、静的ストレッチ(ゆっくり筋肉を伸ばす)でクールダウンし、筋肉の疲労回復を促しましょう。
  • 柔軟性の維持

    • 日頃からストレッチを習慣化し、筋肉や関節の柔軟性を高めておくことが重要です。特に、肉離れを起こしやすいハムストリングスや腓腹筋、大腿四頭筋などを重点的に伸ばしましょう。
  • 筋力バランスの強化

    • 特定の筋肉だけでなく、全身の筋力をバランスよく鍛えましょう。特に、体幹の安定性や、肉離れを起こしやすい筋肉と拮抗する筋肉(例:ハムストリングスと大腿四頭筋)のバランスを整えることが大切です。
  • 段階的なトレーニング

    • 急に運動量を増やしたり、高負荷のトレーニングを行ったりせず、徐々に運動強度や量を上げていきましょう。
  • 十分な休息と栄養・水分補給

    • 疲労が蓄積すると怪我のリスクが高まります。質の良い睡眠をとり、練習後はバランスの取れた食事で栄養補給をしっかりと行いましょう。
    • 運動中はこまめな水分補給を心がけ、脱水状態にならないように注意しましょう。
  • 体の冷え対策

    • 寒い時期や屋外での運動時には、服装で体を冷やさないように工夫しましょう。

まとめ

肉離れは、スポーツ活動において誰もが経験しうる怪我ですが、その症状や原因、適切な対処法を知ることで、重症化を防ぎ、早期の回復と再発予防につなげることができます。急な痛みに襲われた場合は、自己判断せずにRICE処置を行い、速やかに整形外科を受診してください。大阪市鶴橋・玉造の山本整形外科では、肉離れの診断から、個々の状態に合わせた治療、リハビリテーション、再発予防のためのトレーニング指導まで、トータルでサポートさせていただきます。安心してスポーツを楽しめるよう、お困りの際はぜひご相談ください。

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