
「最近、歩いていると足がしびれてくる」「少し休むとまた歩けるけれど、長い距離が辛くなった」……。
このような症状に心当たりはありませんか?
足のしびれや痛みを感じると、多くの方は「足そのものに原因があるのではないか」「血行が悪くなっているだけだろう」と考えがちです。しかし、実はその「足の症状」の根本的な原因が、自分では痛みを感じていない「腰」に隠れていることが少なくありません。
今回は、中高年の方に多く見られる代表的な疾患「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」に焦点を当て、そのサインや原因、治療法について詳しく解説します。
なぜ「腰」が原因で「足」がしびれるのか?
私たちの体において、腰(腰椎)は上半身を支えるだけでなく、脳から続く神経の通り道としての重要な役割を担っています。
背骨の中には「脊柱管(せきちゅうかん)」というトンネルのような管があり、その中を重要な神経(馬尾神経や神経根)が通っています。この神経は腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、そして足先へと繋がっており、筋肉を動かす指令を伝えたり、皮膚の感覚を脳に届けたりしています。
脊柱管狭窄症とは、加齢や長年の負担によって背骨が変形したり、靭帯が厚くなったりすることで、この「神経の通り道(脊柱管)」が狭くなってしまう状態を指します。
管が狭くなると、中の神経が圧迫されます。腰の部分で神経が圧迫されると、その神経が繋がっている「足」に異常信号が送られ、しびれや痛み、力が入らないといった症状が引き起こされるのです。これが「原因は腰、症状は足」という現象の正体です。
脊柱管狭窄症の代表的なサイン:
間欠性跛行(かんけつせいはこう)
脊柱管狭窄症の最も特徴的な症状に「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」があります。これは、本疾患を疑う上で最も重要なサインです。
間欠性跛行とは?
歩き始めてしばらくすると、足にしびれや痛みが生じ、歩くのが困難になります。
しかし、ベンチに座ったり、前かがみになって少し休んだりすると症状が和らぎ、再び歩けるようになるのが特徴です。
なぜ休むと楽になるのでしょうか?
それは「姿勢」に関係があります。背筋を伸ばして立ったり歩いたりすると、腰の脊柱管はより狭まり、神経への圧迫が強まります。
一方で、前かがみ(猫背のような姿勢)になると、脊柱管が一時的に広がり、神経への圧迫が緩和されるため、症状が軽くなるのです。
- シルバーカー(手押し車)を押したり、自転車に乗ったりするのは楽である。
- スーパーでの買い物中、ショッピングカートに寄りかかると長く歩ける。
- 立ちっぱなしでいるのが辛い。
足に出る具体的な症状のバリエーション
脊柱管狭窄症による足の症状は、人によってさまざまです。圧迫される神経の場所や程度によって、以下のような現れ方をします。
神経根型(しんけいこんがた)
左右どちらかの神経が圧迫されるタイプです。片方の足にお尻から足先にかけての痛みやしびれが出ることが多く、坐骨神経痛と診断されることもあります。
馬尾型(ばびがた)
脊柱管の中心部にある神経の束(馬尾)が全体的に圧迫されるタイプです。両足にしびれや冷感、異常な感覚(ジリジリする、膜が張ったような感じ)が出ることがあります。また、進行すると排尿障害(尿が出にくい、残尿感がある)や便秘などの症状が出ることもあり、この場合は早期の受診が不可欠です。
混合型
上記の両方の症状が混ざって現れるタイプです。
放置するとどうなる? 早期発見のメリット
「年だから仕方ない」「休めば歩けるから大丈夫」と放置してしまう方は少なくありません。しかし、脊柱管狭窄症は進行性の病気です。
悪化すると、連続して歩ける距離が数百メートルから数十メートルへと短くなり、最終的には家の中の移動さえ困難になることがあります。また、神経へのダメージが深刻になると、筋肉が痩せてしまったり(筋萎縮)、足に力が入らなくなって転倒しやすくなったりします。
早期に発見し、適切なケアを始めることで、手術をせずに症状をコントロールできる可能性が高まります。また、適切な運動習慣や生活習慣を身につけることで、健康寿命を延ばすことにも繋がります。
当院での診断と治療アプローチ
山本整形外科では、患者様のライフスタイルや症状の程度に合わせた最適な治療法をご提案しています。
診断
まずは問診で「どのような時に症状が出るか」を詳しく伺います。その上で、レントゲン検査で骨の変形を確認し、必要に応じてMRI検査を行い、神経の圧迫状況を詳細に確認します。
治療法(保存療法)
手術以外の方法で症状を改善させる「保存療法」を優先します。
薬物療法
- 神経の血流を良くする薬(プロスタグランジン製剤)や、神経の痛みを抑える薬などを用います。
リハビリテーション
- 理学療法士による指導のもと、腰の負担を減らすストレッチや、体幹を支える筋力トレーニングを行います。
姿勢の改善は、症状緩和に非常に有効です。
ブロック注射
- 痛みが強い場合、神経の近くに局所麻酔薬などを注入し、炎症を抑えて痛みを遮断します。
手術療法
- 理学療法士による指導のもと、腰の負担を減らすストレッチや、体幹を支える筋力トレーニングを行います。
姿勢の改善は、症状緩和に非常に有効です。
ブロック注射
- 痛みが強い場合、神経の近くに局所麻酔薬などを注入し、炎症を抑えて痛みを遮断します。
手術療法
保存療法で効果が見られない場合や、排尿障害が出ている場合、歩行困難が著しく生活に支障がある場合には、手術を検討します。近年では低侵襲な手術も増えており、患者様の負担を最小限に抑える選択肢を提示いたします。
日常生活で気をつけること・セルフケア
- 「前かがみ」を上手く取り入れる:
台所仕事などで長時間立っているのが辛い時は、片足を低い台に乗せたり、少し前かがみの姿勢をとると楽になります。 - 重いものを持たない:
腰を反らせる動作や、重い荷物を持つことは、脊柱管をさらに狭める要因になります。 - 適度な運動(自転車漕ぎなど):
歩行が辛い時期でも、自転車(エアロバイクなど)は腰に負担がかかりにくく、心肺機能や筋力を維持するのに効果的です。 - 冷え対策:
神経の血流が悪くなるとしびれが強まります。お風呂でゆっくり温まったり、レッグウォーマーを活用したりして、下半身を冷やさないようにしましょう。
まとめ:そのしびれ、我慢しないでください
「足のしびれ」は、体からの重要なサインです。原因が腰にある場合、それを放置することは歩行能力の低下、ひいては生活の質の低下に直結します。
最近歩きにくくなったと感じる方、足の違和感が消えない方は、ぜひ一度当院にご相談ください。専門医の視点からしっかりと診断を行い、あなたが再び笑顔で歩けるようサポートいたします。
腰の健康を守ることは、一生自分の足で歩き続けるための第一歩です。気になる症状があれば、鶴橋・玉造の整形外科、山本整形外科にご相談ください。
