アキレス腱断裂とは?大阪鶴橋・玉造の整形外科クリニックが徹底解説

コラム

アキレス腱断裂とは?大阪鶴橋・玉造の整形外科クリニックが徹底解説column

2025.09.01

アキレス腱断裂とは?大阪鶴橋・玉造の整形外科クリニックが徹底解説「急にふくらはぎに強い衝撃を受けたような感覚とともに、『ブチッ』と音がした」「振り向くと誰もいないのに、バットで殴られたような激痛が走った」――これらは、アキレス腱断裂の典型的な症状です。アキレス腱断裂は、スポーツ中に多く発生する怪我ですが、日常生活の中で起こることもあります。放置すると歩行にも支障をきたし、生活の質を大きく損ねるため、迅速な診断と適切な治療が非常に重要になります。

アキレス腱とは?

アキレス腱は、私たちの体の中で最も太く、最も強い腱です。ふくらはぎの筋肉(腓腹筋とヒラメ筋)と、かかとの骨(踵骨)をつないでいます。歩く、走る、ジャンプする、つま先立ちをするなど、足首を底屈(足裏側に曲げる)する全ての動きにおいて重要な役割を果たしており、地面を蹴り出す際の強力な推進力を生み出しています。

アキレス腱断裂の主な原因

アキレス腱断裂の多くは、スポーツ活動中に発生します。特に、アキレス腱に急激な負荷がかかるような動作が原因となります。

  • 急なダッシュや方向転換
    • バドミントン、テニス、バスケットボール、バレーボール、サッカー、野球(特に塁間ダッシュやベースランニング)などで、スタートダッシュや急な切り返し、ストップ動作の際に、アキレス腱に強い牽引力(引っ張られる力)がかかることで断裂しやすいです。
  • ジャンプからの着地
    • バレーボール、バスケットボール、陸上競技(走り高跳び、走り幅跳び)などで、ジャンプからの着地時にアキレス腱に急激な負荷がかかり、断裂することがあります。
  • つま先立ちからの踏み込み
    • ダンス、体操などで、つま先立ちの状態から強く踏み込む動作で断裂することがあります。
  • 準備運動不足や疲労の蓄積
    • 筋肉が十分に温まっていない状態での急な運動や、疲労が蓄積した状態での運動は、アキレス腱の柔軟性を低下させ、断裂のリスクを高めます。
  • 加齢による腱の変性
    • 30代から50代に多く見られる傾向があり、加齢とともにアキレス腱の弾力性が失われ、もろくなることで断裂しやすくなります。
  • ステロイドの使用や特定の薬剤
    • 一部のステロイド薬や特定の抗菌薬(ニューキノロン系抗菌薬など)は、アキレス腱の強度を低下させ、断裂のリスクを高めることが知られています。

アキレス腱断裂の主な症状

アキレス腱断裂は、特徴的な症状を伴います。

  • 「ブチッ」「パチン」という断裂音
    • 受傷時に、アキレス腱が切れる音が聞こえたり、その音を感じたりすることが非常に多いです。
  • ふくらはぎを「蹴られた」「殴られた」ような衝撃と激しい痛み
    • 強い衝撃とともに、アキレス腱の切れた部位に鋭い痛みを感じます。しかし、断裂直後は痛みが思ったほど強くなく、歩けてしまう場合もあるため注意が必要です。
  • 断裂部の陥凹(へこみ)
    • アキレス腱が断裂した部分に、指で触れるとへこみ(ギャップ)を感じることができます。
    • つま先立ちができない、階段を上れない。
  • 足首を底屈できない、または力が入りにくい
    • つま先立ちができなくなる、地面を蹴ることができないなど、足首を動かす際に力が入らなくなります。
    • 歩行は可能でも、つま先立ちができず、びっこを引くような歩き方になります。
  • トンプソンテスト陽性
    • うつ伏せになり、ふくらはぎを強くつかむと、通常は足首が底屈しますが、アキレス腱が断裂していると足首の動きが見られません。これはアキレス腱断裂の簡易的な検査方法の一つです。

アキレス腱断裂の診断

診断は、問診で受傷時の状況や症状を詳しく伺い、視診や触診でアキレス腱のへこみの有無や圧痛を確認します。特にトンプソンテストは、アキレス腱断裂の診断に非常に有効です。加えて、以下の画像検査を組み合わせて行われます。

  • 超音波(エコー)検査
    • アキレス腱の断裂部位や程度、腱の間の出血などをリアルタイムで詳細に観察できるため、アキレス腱断裂の診断に非常に有用です。腱の連続性の有無を明確に確認できます。
  • MRI検査
    • アキレス腱の損傷の程度、周囲の組織の状態、血腫の広がりなどをより詳細に評価する際に用いられます。手術を行う場合など、より精密な情報が必要な場合に活用されます。
  • レントゲン検査
    • 骨の異常(骨折など)の有無を確認するために行われますが、アキレス腱自体は写りません。

アキレス腱断裂の治療

アキレス腱断裂の治療は、患者様の年齢、活動レベル、断裂の程度、受傷からの期間などによって、保存療法手術療法のどちらかを選択します。

保存療法

  • ギプス固定・装具療法
    • 断裂した腱が自然に癒合するのを促すため、足首を底屈位(つま先が下を向いた状態)でギプスや装具によって固定します。
    • 固定期間は一般的に6~8週間程度で、徐々に足首の角度を正常な位置に戻していきます。
    • 手術に比べて合併症のリスクは低いですが、再断裂のリスクがやや高いとされています。
    • 活動量の少ない高齢の方や、全身状態により手術が困難な場合に選択されることが多いです。

手術療法

  • アキレス腱縫合術
    • 断裂したアキレス腱の端々を縫い合わせる手術です。
    • 再断裂のリスクが保存療法に比べて低いとされています。
    • スポーツ活動への早期復帰を目指す若い方や、活動量の多い方に選択されることが多いです。
    • 手術方法には、皮膚を大きく切開する「直視下縫合術」と、皮膚の切開を小さくする「小切開術」や「経皮的縫合術」などがあります。

治療後のリハビリテーション

保存療法、手術療法のいずれの場合でも、治療後のリハビリテーションが非常に重要になります。アキレス腱断裂のリハビリテーションは、段階的に慎重に進める必要があります。

  • 固定期間中の管理
    • 患部に負担をかけない範囲で、松葉杖を使用した歩行訓練や、体幹、股関節、反対側の足の筋力維持を行います。
  • 固定除去後の段階的なリハビリ
    • 固定除去後は、足首の関節可動域訓練から始め、徐々に体重をかけながら、足首周囲の筋力強化を行います。
    • 最初は軽いチューブトレーニングなどから始め、徐々にゴムバンドや軽い負荷での筋力トレーニングへと移行します。
  • 機能訓練とスポーツ復帰プログラム
    • 足首の安定性やバランス能力を高める訓練を行います。
    • ウォーキングからジョギング、軽いダッシュ、ジャンプ、そして競技特有の動作へと、段階的に負荷を上げていきます。
    • 再断裂のリスクを避けるため、専門の理学療法士の指導のもと、焦らず慎重に復帰を進めることが重要です。完全なスポーツ復帰には数ヶ月から半年、あるいはそれ以上かかることもあります。

アキレス腱断裂の予防

アキレス腱断裂を完全に防ぐことは難しいですが、以下の点に注意することで、発症リスクを軽減することができます。

  • 十分な準備運動とクールダウン
    • 運動前には、アキレス腱やふくらはぎの筋肉を十分に温めるウォーミングアップを行い、特に動的ストレッチで足首の可動域を確保しましょう。
    • 運動後には、静的ストレッチでアキレス腱やふくらはぎをゆっくりと伸ばし、疲労回復を促しましょう。
  • 柔軟性の維持・向上
    • 日頃からアキレス腱やふくらはぎのストレッチを習慣化し、柔軟性を高めておくことが重要です。
  • 筋力バランスの強化
    • ふくらはぎの筋肉だけでなく、太ももや体幹など、全身の筋力をバランスよく鍛え、負担が特定部位に集中しないようにしましょう。
  • 段階的な運動量の増加
    • 急激な練習量や運動強度の増加は避け、徐々に体を慣らしていくことが大切です。特にシーズンオフ明けや、新しいスポーツを始める際は注意が必要です。
  • 適切なシューズの選択
    • クッション性があり、足にフィットする運動靴を選びましょう。古くなったシューズはクッション性が低下しているため、定期的に交換しましょう。
  • 疲労管理
    • 過度な練習や試合は疲労の蓄積を招き、怪我のリスクを高めます。十分な休息と睡眠を取り、疲労を回復させましょう。
  • 疼痛時の早期対処
    • アキレス腱周囲に痛みや違和感を感じたら、無理をして運動を続けず、すぐに整形外科を受診しましょう。早期発見・早期治療が、重症化を防ぎ、復帰への期間を短縮する鍵となります。

アキレス腱断裂の治療は大阪鶴橋・玉造の山本整形外科へ

アキレス腱断裂は、突然の激しい痛みと機能障害をもたらす怪我ですが、適切な診断と治療、そして根気強いリハビリテーションを行うことで、多くの場合は元の活動レベルに復帰することが可能です。
もし運動中や日常生活で「ブチッ」という音とともにふくらはぎに強い痛みを感じた場合は、すぐにアキレス腱断裂を疑い、速やかに整形外科を受診してください。
当クリニックでは、アキレス腱断裂の専門的な診断から、患者様一人ひとりに合わせた治療プランのご提案、そして再発予防のためのリハビリテーションまで、トータルでサポートさせていただきます。安心して日常生活やスポーツに復帰できるよう、お困りの際はぜひご相談ください。

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