交通事故治療の期間はどれくらい? 大阪鶴橋・玉造の整形外科が解説

コラム

交通事故治療の期間はどれくらい? 大阪鶴橋・玉造の整形外科が解説column

2025.07.28

交通事故に遭ってしまった際、身体的な痛みや精神的なショックに加え、「治療はいつまで続くのだろう」「どれくらいの期間で元の生活に戻れるのだろう」といった不安を抱える方は少なくありません。交通事故によるケガは、一般的なケガとは異なり、治療期間が長引いたり、後遺症が残ったりするケースもあります。
今回は、整形外科医の視点から、交通事故治療における治療期間の目安や、治療期間に影響を与える要因、そしてスムーズな回復を目指すために大切なことについて詳しく解説します。
交通事故治療の期間はどれくらい? 大阪鶴橋・玉造の整形外科が解説

交通事故治療とは?一般的なケガとの違い

交通事故治療とは、交通事故によって負ったケガ(外傷)に対して行われる治療全般を指します。一般的なケガと異なる点は、以下のような点が挙げられます。

突発的かつ大きな衝撃

交通事故は予測不能な状況で、非常に大きな外力が身体に加わることが特徴です。これにより、目に見える外傷だけでなく、むちうち症のように内部の組織が損傷するケースが多く見られます。

複合的な症状

一つの部位だけでなく、複数の部位にケガを負うことや、身体的な痛みだけでなく、精神的なストレス(PTSDなど)を伴うことも珍しくありません。

自賠責保険の適用

交通事故によるケガの場合、自賠責保険や任意保険が適用されることが多く、治療費や交通費、休業補償などが支払われる可能性があります。このため、保険会社とのやり取りも治療期間に影響を与える要素となります。

後遺症のリスク

適切な治療を受けなかったり、治療を途中で中断したりすると、後遺症が残るリスクが高まります。
交通事故治療の主なケガとその治療期間の目安

交通事故で負うケガは多岐にわたりますが、ここでは主なケガと一般的な治療期間の目安をご紹介します。
 
ただし、これはあくまで目安であり、個々の症状や重症度によって大きく異なります。

1.むちうち症(頚椎捻挫)

交通事故によるケガで最も多いのが「むちうち症」です。追突などによって、首が前後に激しく揺さぶられ、頚椎(首の骨)やその周辺の筋肉、靭帯、神経などが損傷する状態です。

症状

首の痛み、肩こり、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴り、腕や手のしびれなど、多岐にわたります。事故直後ではなく、数日経ってから症状が現れることもあります。

治療期間の目安

軽症であれば2週間~1ヶ月程度で改善することもありますが、多くの場合は3ヶ月~6ヶ月程度の治療期間を要します。神経症状が強い場合や、痛みが慢性化すると1年以上かかることもあります。

2.腰部捻挫

むちうち症と同様に、衝突時の衝撃で腰部が捻挫するケガです。

症状

腰の痛み、お尻や足への放散痛、しびれなど。

治療期間の目安

1ヶ月~3ヶ月程度が目安ですが、症状が重い場合や、元々腰痛持ちであった場合は、それ以上かかることもあります。

3.打撲・挫傷

身体が車体や座席などに強く打ちつけられることで、筋肉や皮下組織が損傷するケガです。

症状

痛み、腫れ、内出血など。

治療期間の目安

軽度であれば1週間~2週間程度で改善しますが、筋肉の損傷が広範囲にわたる場合や、深部に及ぶ場合は1ヶ月以上かかることもあります。

4.骨折・脱臼

衝撃が非常に強かった場合に発生します。手足の骨折から、重篤な脊椎骨折まで様々です。

症状

激しい痛み、腫れ、変形、機能障害など。

治療期間の目安

骨折の種類や部位、重症度によって大きく異なります。ギプス固定期間だけでも1ヶ月~数ヶ月かかることが多く、その後、リハビリテーションを含めると3ヶ月~1年以上の長期にわたる治療が必要となるケースがほとんどです。手術が必要な場合は、さらに期間が長引きます。

5.神経損傷

交通事故の衝撃により、手足のしびれや麻痺を引き起こす神経の損傷です。

症状

しびれ、感覚障害、筋力低下、麻痺など。

治療期間の目安

神経の回復には時間がかかるため、半年~1年以上の長期的な治療が必要となることが多く、完全に回復しないケースもあります。

治療期間に影響を与える主な要因

交通事故治療の期間は、様々な要因によって変動します。

1.ケガの部位と重症度

最も大きな要因です。むちうち症でも、軽度なものから神経症状を伴うものまで幅があり、骨折や神経損傷など重症なケガほど治療期間は長くなります。

2.事故の種類と状況

追突、側面衝突、正面衝突など、事故の形態や衝突時のスピード、衝撃の大きさによって、身体への影響度が異なります。

3.患者様の年齢と既往歴

高齢者や、事故以前から持病(腰痛、頚部痛など)がある方は、回復に時間がかかったり、症状が悪化しやすかったりする傾向があります。

4.治療開始までの期間

事故後、すぐに治療を開始できたかどうかも重要です。痛みを我慢したり、放置したりすると、症状が悪化し、治療期間が長引く可能性があります。

5.治療への取り組み方

医師の指示通りに通院し、リハビリテーションに積極的に取り組むことで、回復は早まります。逆に、通院が不規則になったり、自己判断で治療を中断したりすると、回復が遅れるだけでなく、後遺症のリスクが高まります。

6.精神的な要因

事故のショックや、保険会社とのやり取りによるストレスなども、身体の回復に影響を与えることがあります。

7.保険会社の対応

保険会社の担当者によっては、治療期間について早期の打ち切りを打診されることがあります。しかし、医師が治療が必要と判断している間は、治療を継続することが重要です。

スムーズな回復を目指すために大切なこと

交通事故によるケガを早期に回復させ、後遺症を残さないためには、以下の点に注意しましょう。

1.早期の受診と精密検査

事故に遭ったら、たとえ自覚症状がなくても、できるだけ早く整形外科を受診しましょう。事故直後は興奮状態にあり、痛みを感じにくいこともあります。時間の経過とともに症状が現れることもあるため、医師の診察を受け、レントゲンやMRIなどの精密検査を受けることが非常に重要です。これにより、目に見えない骨折や靭帯損傷、神経損傷などを早期に発見し、適切な治療を開始できます。

2.医師の指示に従った継続的な治療

自己判断で治療を中断したり、通院をやめたりすることは絶対に避けましょう。痛みがないからといって治療をやめてしまうと、後から症状がぶり返したり、慢性的な痛みに移行したりするリスクがあります。医師が症状を診ながら、患者様一人ひとりに最適な治療計画を立てますので、根気強く治療を継続することが大切です。

3.積極的なリハビリテーション

薬や物理療法だけでなく、リハビリテーションは交通事故治療において非常に重要な役割を果たします。理学療法士の指導のもと、低下した筋力の回復、関節可動域の改善、身体のバランス能力の向上などを行うことで、機能回復を促し、後遺症を予防します。ご自宅でもできるストレッチや運動も、積極的に取り入れましょう。

4.保険会社との適切な連携

保険会社とのやり取りは精神的な負担になることもありますが、治療に専念するためにも重要なことです。治療の進捗状況や症状の変化などを適宜報告し、疑問点があれば遠慮なく確認しましょう。もし、治療の打ち切りを打診された場合でも、ご自身の症状や医師の判断に基づいて、慎重に対応することが大切です。必要であれば、弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。

5.身体だけでなく精神的なケアも

交通事故は、身体だけでなく心にも大きな影響を与えることがあります。不安やストレスを感じたら、我慢せずに医師や信頼できる人に相談しましょう。精神的な安定も、身体の回復には不可欠です。

治療期間の終了と後遺症認定

治療を継続しても症状が改善しなくなり、「これ以上治療を続けても改善の見込みがない」と医師が判断した場合、「症状固定」となります。症状固定の診断が出た時点で治療は終了し、それ以降は治療費が保険から支払われなくなります。
しかし、症状固定時に痛みが残っている場合は、その症状が「後遺症」として認定される可能性があります。後遺症が残った場合、後遺障害診断書を作成し、自賠責保険に後遺障害の申請を行うことになります。後遺症認定を受けることで、後遺障害慰謝料などの補償を受けることが可能になります。

まとめ

交通事故治療の期間は、ケガの重症度や種類、個人の回復力など、様々な要因によって大きく異なります。一概に「〇ヶ月で治る」と言い切ることはできませんが、早期に適切な整形外科を受診し、医師の指示に従って根気強く治療とリハビリテーションを継続することが、早期回復と後遺症予防への何よりの近道です。
大阪鶴橋・玉造の整形外科、山本整形外科では、交通事故に遭われた患者様に対し、専門的な知識と経験に基づいた丁寧な診察と治療を提供しています。患者様の身体と心の状態に寄り添い、少しでも早く元の生活に戻れるよう、全力でサポートさせていただきます。
交通事故に遭ってしまい、今後の治療について不安を感じている方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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