
交通事故に遭遇するという経験は、誰にとっても突然で、精神的にも肉体的にも大きな負担を伴います。
特に、事故後に感じる身体の痛みや不調は、日常生活に大きな影響を及ぼし、どこで治療を受ければ良いのか、という不安は尽きないことでしょう。
「整形外科」と「接骨院」、どちらも交通事故によるケガに対応していますが、その役割や得意分野は異なります。
このコラムでは、大阪鶴橋の山本整形外科がそれぞれの特徴を詳しく解説し、あなたがご自身の状況に合わせた最適な治療選択をするためのヒントを提供します。
交通事故後の身体に異変を感じたら、まずは整形外科へ
交通事故に遭った直後は、興奮状態にあるため、痛みをあまり感じないことがあります。
しかし、数時間後から翌日にかけて、むちうちの症状や打撲の痛みなど、様々な不調が現れることが少なくありません。
もし少しでも身体に異変を感じたら、まずは整形外科を受診することをおすすめします。
なぜなら、交通事故によるケガは、見た目では判断できないケースが多く、専門的な検査でなければ見落とされてしまう可能性があるからです。骨折や神経損傷、内臓への影響など、早期に適切な診断と治療を開始することが、後遺症を残さないためにも極めて重要となります。
整形外科の役割と強み
整形外科は、運動器(骨、関節、筋肉、靭帯、神経など)の疾患や外傷を専門とする医療機関です。医師が常駐しており、医学的な知識と経験に基づいて、患者さんの症状を多角的に診断します。
整形外科の最大の強みは、精密な画像検査が可能であることです。
レントゲン撮影で骨折や脱臼の有無を確認できるだけでなく、MRIやCTスキャンを用いることで、むちうちで損傷しやすい靭帯や神経の状態、軟骨の損傷など、肉眼では見えない部分の異常も詳細に把握することができます。これらの検査結果に基づき、医師は正確な診断を下し、適切な治療計画を立てます。
治療方法も多岐にわたります。痛みを和らげるための薬の処方や、炎症を抑える注射、物理療法(電気治療、温熱療法、牽引など)、そして専門の理学療法士によるリハビリテーションなど、患者さんの症状や回復段階に合わせたオーダーメイドの治療を提供します。重度の骨折や神経損傷の場合には、手術が必要となるケースもありますが、その判断と実施ができるのは整形外科医だけです。
また、交通事故においては、診断書の発行が非常に重要になります。整形外科医が発行する診断書は、警察への提出や保険会社とのやり取り、そして万が一後遺障害が残ってしまった場合の申請手続きにおいて、法的な効力を持つ唯一の書類となります。この診断書がなければ、適切な損害賠償を受けられない可能性も出てくるため、事故に遭ったら必ず整形外科で診断書を作成してもらいましょう。
接骨院の役割と強み
接骨院は、柔道整復師が施術を行う施設です。柔道整復師は、国家資格を持つ専門家であり、骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷といった急性期の外傷に対して、手術をしない「非観血的療法」を用いて施術を行います。
接骨院の施術の中心は、手技によるアプローチです。柔道整復師は、患者さんの身体の状態を細かく触診し、筋肉の張りや関節のズレなどを丁寧に調整していきます。関節の可動域を広げたり、筋肉のバランスを整えたりすることで、自然治癒力を高め、症状の緩和を目指します。物理療法として、電気治療や温熱療法、超音波治療などを併用することもあります。
接骨院は、アットホームな雰囲気で、患者さんの話に耳を傾け、親身に寄り添ってくれる場所が多いという特徴があります。予約なしで利用できる施設や、夜遅くまで開いている施設も多く、仕事帰りや買い物のついでなど、患者さんのライフスタイルに合わせて通いやすい点も魅力です。特に、整形外科で「異常なし」と診断されたものの、身体の痛みや不調が続く場合や、慢性的な筋肉の張り、関節の違和感などに対して、手技による丁寧なケアを求める方には適しているでしょう。
整形外科と接骨院、
それぞれの得意分野と選び方のポイント
整形外科 | 接骨院 | |
---|---|---|
診断 | 医師による医学的診断、精密な画像検査(レントゲン、MRI、CTなど)が可能。骨折、神経損傷、内臓損傷などの詳細な評価に強み。 | 柔道整復師による評価、触診が中心。骨折や脱臼は応急処置のみで、医師の同意が必要。 |
治療内容 | 投薬、注射、リハビリテーション(理学療法士による専門的な指導)、物理療法、手術(必要に応じて)。 | 手技療法(整復、固定、マッサージなど)、物理療法(電気、温熱、超音波など)。 |
診断書 | 発行可能。交通事故の保険請求、後遺障害申請に必須。 | 基本的に発行不可。治療経過の報告書は作成可能だが、法的な効力は医師の診断書に劣る。 |
保険適用 | 医療保険、自賠責保険、労災保険など各種保険が適用。 | 柔道整復師の施術は、一部保険適用外の場合もある。自賠責保険は適用可能。 |
交通事故治療の賢い進め方
上記を踏まえ、交通事故治療における賢い選択のステップをご紹介します。
01
まずは整形外科を受診しましょう。
事故直後は症状が軽くても、時間の経過とともに痛みが増したり、隠れた損傷が見つかったりするケースが多々あります。まずは整形外科で医師による診察を受け、レントゲンやMRIなどの画像検査を行い、身体の損傷状態を正確に把握することが最も重要です。この際に、警察や保険会社に提出する必要がある診断書を必ず発行してもらいましょう。診断書がないと、治療費が自賠責保険で認められなかったり、示談交渉が不利になったりする可能性があります。
02
医師の診断に基づき、治療計画を立てましょう。
整形外科での診断結果に基づいて、医師と相談しながら治療計画を立てます。薬物療法やリハビリテーションなど、医師の指示に従って治療を進めてください。
03
必要に応じて、接骨院の併用も検討しましょう(医師の同意を得て)。
整形外科での治療を進める中で、筋肉の張りやこり、関節の動きの悪さなどが気になる場合、または、手技によるアプローチを希望する場合は、接骨院の併用も一つの選択肢となります。ただし、必ず整形外科の担当医に相談し、了解を得てから接骨院に通うようにしてください*医師に無断で接骨院に通い始めると、保険会社との間でトラブルになったり、治療費の支払いが認められなかったりする可能性があります。整形外科の医師が「必要である」と判断すれば、スムーズに併用できるケースがほとんどです。整形外科と接骨院が連携して治療を進めることで、より効果的な回復が期待できます。
04
症状の変化を医師や施術者に伝えましょう。
治療中は、身体の症状の変化や、不安に感じることなどを、遠慮なく医師や施術者に伝えましょう。早期に症状の変化を共有することで、治療計画をより効果的に調整することができます。
交通事故後の治療は、迷わず整形外科へ
交通事故の治療は、早期に適切な治療を受けることが、後遺症のリスクを最小限に抑え、スムーズな回復への最も重要な一歩です。
当院では、交通事故の治療に豊富な経験を持つ専門医が、患者様一人ひとりの症状に合わせた丁寧な診察と適切な治療を行います。また、必要に応じて自賠責保険の手続きについてもサポートさせていただきますので、安心してご相談ください。
大阪で交通事故治療、むち打ちの治療は、鶴橋の山本整形外科へご相談ください。