1. はじめに

「「病院で股関節唇損傷と診断されたけど、手術が必要なの?なんとか自然に治したい!」
股関節の痛みを感じ、もしかして股関節唇損傷かもしれないと思っている方や、診断されたものの自然治癒を望んでいる方もいるのではないでしょうか。
股関節唇損傷は、股関節の痛みを引き起こす原因の一つですが、自然治癒するのか、どのような治療法があるのか、よくわからないという方も多いかと思います。
そこで今回は、股関節唇損傷の原因や症状、治療法、予防法などを整形外科専門医がわかりやすく解説します。
2. 股関節唇損傷とは?
股関節唇とは、股関節の骨盤側にある軟骨組織で、大腿骨頭(太ももの骨の先端)を包み込むように存在しています。 股関節唇は、股関節の安定性を高め、衝撃を吸収する役割を担っています。
股関節唇損傷とは、この股関節唇が何らかの原因で損傷し、痛みや引っかかり感などの症状を引き起こす病気です。
3. 股関節唇損傷の原因
股関節唇損傷の主な原因としては、以下のものが挙げられます。
● スポーツや外傷による急激な負荷
● 股関節の先天的な形態異常(臼蓋形成不全など)
● 加齢による股関節唇の脆弱化
● 繰り返しの股関節への負担(長時間のランニングや股関節を深く曲げる動作など)
特に、スポーツや外傷による急激な負荷は、若い世代での発症原因として多く見られます。 また、股関節の先天的な形態異常があると、股関節唇に負担がかかりやすく、損傷のリスクが高まります。
4. 股関節唇損傷の症状
股関節唇損傷の主な症状としては、以下のものが挙げられます。
● 股関節の痛み(特に鼠径部や臀部)
● 股関節の引っかかり感やクリック感
● 股関節の可動域制限(特に内旋や外転)
● 股関節の不安定感
症状は、損傷の程度や場所によって異なりますが、運動時や長時間座った後に症状が悪化することが多いです。
5. 股関節唇損傷の検査・診断
股関節唇損傷の診断は、問診、理学的検査、画像検査などに基づいて行われます。
問診
症状や既往歴、生活習慣などを詳しくお伺いします。
理学的検査
股関節の可動域や痛み、不安定感などを調べます。
画像検査
○ レントゲン検査:骨の状態を確認します。
○ MRI検査:股関節唇や軟骨の状態を詳しく確認します。
○ 関節造影MRI検査:関節内に造影剤を注入し、より詳細な情報を得ます。
特にMRI検査は、股関節唇損傷の診断に有効です。
6. 股関節唇損傷の治療法
股関節唇損傷の治療法は、症状の程度や患者さんの活動レベルなどによって異なります。
保存療法
○ 安静
○ 薬物療法(痛み止め、湿布など)
○ 理学療法(ストレッチ、筋力トレーニングなど)
○ 関節内注射(ステロイド、ヒアルロン酸など)
保存療法は、軽度から中等度の損傷に対して有効です。 股関節への負担を減らし、股関節周囲の筋肉を強化することで、症状の改善を目指します。
手術療法
○ 関節鏡手術:股関節鏡を用いて、損傷した股関節唇を修復します。
○ 股関節唇縫合術、股関節唇切除術など
手術療法は、保存療法で改善しない場合や、重度の損傷、スポーツ活動への早期復帰を希望する場合などに検討されます。
このように症状の程度によっては自然治癒することもありますが、重度の場合は自然治癒しないこともあるので、絶対に自己判断せず医師の指示に従いましょう
7. 股関節唇損傷の予防と日常生活での注意点
股関節唇損傷を予防するためには、以下の点に注意することが大切です。
● スポーツ活動前のストレッチやウォーミングアップを十分に行う
● 股関節に負担のかかる動作を避ける
● 股関節周囲の筋肉を強化する
● 股関節の柔軟性を維持する
● 適正体重を維持する
日常生活では、股関節に負担のかかる動作(深くしゃがむ、股関節を深く曲げるなど)を避け、股関節周囲の筋肉を強化することが大切です。
8. まとめ
股関節唇損傷は、自然治癒が難しい病気です。 症状を放置すると、変形性股関節症に進行するリスクもあります。 早期の診断と適切な治療が大切です。
「もしかして、股関節唇損傷かも…」
と思ったら、自己判断せずに、早めに整形外科を受診しましょう。
山本整形外科では、股関節唇損傷をはじめ、股関節の痛みやその他の運動器疾患でお悩みの方の診察・治療を行っております。気になる症状がある方は鶴橋・玉造の山本整形外科にお気軽にご相談ください。